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「中日1-4阪神」(23日、ナゴヤドーム)
手には最高の感触が残っていた。これが3番の仕事だ。阪神・鳥谷敬内野手(27)が1-1の延長十二回、決勝の3号3ランを放った。安藤からジェフ、アッチソン、球児と必死でつないだ投手陣に報いる値千金弾。チームの連敗を3で止めたのは、クールな男の熱い一撃だった。
◇ ◇
クールな男が、感情を抑えきれなかった。打ち放った弾丸ライナーが右翼へ伸びると「抜けろ!」と全力で一塁へ向かった。白球が視界から消えた瞬間、鳥谷が右手を突き出した。いや、突き出しかけて、途中でやめたようにも見えた。
「ガッツポーズ?そうですね。連敗してたし、自分でも何とかしたい思いが強かったので…」
延長十二回。二死二、三塁で打席が巡ってきた。自分が何とかしなければ、勝ちはなくなる。後ろは金本。ボールを見極め、好球を待った。つなぐ意識も持ちながら自分の打撃に徹した結果が、最高の形となって表れた。
「狙い球とかなかった。ストライクゾーンにきたら思い切っていくことだけを考えていた」。カウント1-1からの3球目、パヤノが投じた内角高めの132キロ。待っていた「ストライクゾーン」でなくとも、確実に仕留める自信が、強いスイングを生んだ。
うまく体を回転させ、振り切った。19日・横浜戦以来3戦ぶりの3号決勝3ランは、この日初めてリードを奪う値千金の一撃となった。その裏二死。小田の遊ゴロをさばき、一塁へ。最後を締めた藤川のもとへ歩み寄り、ナイン全員とタッチを交わした。鳥谷が、4時間半を超える激闘にケリをつけた。
「早い回で点を取っていれば、勝てていた試合。ピッチャーが頑張ってくれていたし、勝てて良かった」。中軸として、好投の先発安藤、そして救援陣を援護できなかった鬱憤(うっぷん)を、最後の最後で晴らした。
五回に先制を許し、迎えた六回表。無死一、二塁の絶好機で吉見のシュートをとらえ、左中間へ最高の打球を飛ばした。抜けた。誰もがそう思ったライナーを和田がスライディングキャッチ。思わず天を仰いだ。「相手のいい守備で捕られたので、自分としては全然引きずらずに、切り替えていけた」。延長十回二死一塁から、右前打で続き、金本へつないだ。前日3安打に続くマルチ安打で、見事に3番の役割を果たした。
「連戦が続くので、この勝ちが明日につながると思う」。試合後のヒーローインタビュー。どんなときも冷静な鳥谷の横顔が、珍しく紅潮していた。
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